豊田自動織機 RECRUITMENT WEBSITE

コンプレッサー

電動コンプレッサー初の海外生産準備

「予想外」を乗り越え、

エンジニアは強くなる。

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    コンプレッサー事業部
    生産技術部
    金子 将行

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    生産技術部
    廣森 勇人

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    内田 幸宏

STORY 1

中国での電動車普及を見据え、現地生産へ。

「聞いた瞬間、えっ!? と耳を疑いました」――自身にとって初めての海外生産準備。予想外の事態に直面した金子は、当時をそう振り返る。

豊田自動織機が世界No.1シェアを誇る製品の一つ、カーエアコン用コンプレッサー。その中でもモーターを内蔵する製品を「電動コンプレッサー」という。同製品は、HEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、BEV(電気自動車)などの電動車の空調システムにおいて欠かせない製品となり、普及が進んでいる。

豊田自動織機は、電動コンプレッサーのシェアについても2003年に世界で初めて量産開始して以来、世界No.1を堅持している。そして世界最大の自動車市場である中国でNEV(New Energy Vehicle=新エネルギー車)規制などが導入され、さらなる普及が見込まれることから、それまで日本だけで生産していた同製品を、現地中国でも生産することとなった。

同製品初の海外生産拠点は、豊田工業電装空調圧縮機(昆山)有限公司(以下、TACK)と烟台首鋼豊田工業空調圧縮機有限公司(以下、YST)に決まった。その生産準備プロジェクトにおいて、組立ラインのリーダーを務めたのが金子だ。それまで国内において約9年にわたり、新規ラインの立上げと設備改善に携わってきた。培った経験を全て発揮する――そう意を強くしてこのプロジェクトに臨んだ。しかしスタートした矢先、思いも寄らない知らせが舞い込んできた。

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STORY 2

想定していなかった課題。

「部品洗浄機に防爆対策を施さないと、消防の許可が下りません」――金子のもとにTACKのスタッフからそう連絡が入った。防爆とは可燃性のガスや蒸気による火災・爆発を防止すること。部品洗浄機は、特殊な洗浄剤を使用する。日本では問題なく使用できたが、中国では防爆対策を施さないと消防法をクリアできないことが判明したのだ。

「その連絡を受けた時は驚きました。日本と同じ設備を同じように設置すれば問題ないと思っていましたから」(金子)

防爆対策として検討すべきことはいくつもあり、それらは絡み合った課題となってメンバーたちを悩ませた。

「苦労した課題の一つがレイアウトでした。組立ラインのすぐ横に部品洗浄機を設置する予定でしたが、工場の一番端に設置しなければならないことが分かったのです。そうするためには、部品洗浄機への部品の供給の流れなど、工程のレイアウトを大幅に変更しなければなりません。限られた期間の中で難しい判断をいくつもする必要がありました」(金子)

廣森はラインの新たなレイアウトを図面に起こすなど、金子リーダーの下で対策に取り組んだ。

「防爆室も課題の一つでした。部品洗浄機を置くために厚いコンクリートに囲まれた部屋を作らなければならなくなったのです。かなり厚いので設備を置くスペースに影響が出ます。その点もレイアウトを検討する上で苦労しました」(廣森)

その他、部品洗浄機自体を防爆仕様に変更する必要もあった。どうすればこれら多くの課題を全て解決に導くことができるか。メンバーたちが心がけたのは、きめ細かなコミュニケーションだった。

「当時日本にいた私はTACKのスタッフたちとWeb会議を繰り返して密に連絡を取り合いました。無事に立ち上げることができたのは、日本と中国、それぞれでこのプロジェクトに関わったみんなの努力の成果です。どんな仕事でもそうだと思いますが、一人ではできないことばかりです。困難な場面に遭遇したとき、多くの人と思いを一つにして乗り越えていく大切さを改めて実感しました」(金子)

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STORY 3

またもや起きた、予想外の事態。

TACK生産ラインの立ち上げ後、YSTの生産準備がスタートした。海外生産準備の経験は、TACKで積むことができた。その経験を発揮することでYSTの生産準備はよりスムーズに進めることができる――メンバーたちはそう思っていた。しかし、またもや予想外の事態が起きた。新型コロナウイルス感染症の世界的流行である。

「元々は日本から数十人が現地に行って立ち上げに取り組む計画でしたが、コロナ禍でそれは突如不可能になりました。急きょ計画を白紙にし、どうしたら現地出張を必要最低限に抑え、リモートを活用して進めることができるかを検討しました」(金子)

YSTの生産準備を担当した内田は、海外生産準備の難しさに加え、リモートならではの難しさも痛感した。

「設備の据え付けの指示をリモートで行いました。日本で実施する場合は細かな説明をしなくても設備メーカーの方が据え付けてくれるのですが、今回は設備メーカーの方も中国に行くことができないので、現地スタッフに私から説明する必要がありました。どの順番で設備を据え付けていくかなど、基本から細かく説明する必要がありましたし、リモートなので目の前で現物を見ながらのやりとりもできません。二重の意味で難しかったですね」(内田)

しかしその難しさが成長につながったと内田は言う。

「現地スタッフに説明するために、日本では設備メーカーの方に任せていたことも一つひとつ勉強し、理解を深める必要がありました。おかげで、それまで知らなかったこともいろいろと吸収することができました。今後は現地現物を基本としながらも、リモートで行うことのできる範囲をもっと広げ、より効率的に業務を進めていきたいと考えています」(内田)

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STORY 4

海外での気付きを、日本での改善へ。

中国で生産準備に取り組んだ経験が、日本の設備の改善につながったこともあった。

「TACKの生産準備において、部品洗浄機の防爆対策を実施しました。この経験を生かし、国内チームの努力の結果、日本の生産ラインでは、海外でも防爆対応が不要な洗浄材に変更しました。これにより、洗浄剤のコストも削減できました。今後は更に多くのラインへ展開していきたいと考えています」(金子)

海外生産準備という仕事は、日本の生産ラインと同様のものをいかに海外で構築できるか、という視点が語られがちだ。しかし金子は今回のプロジェクトを通じて、それだけではないことを学んだと言う。

「海外生産準備を経験することで、日本の課題も見えてきます。いろいろな気付きもあります。それを反映していくことで、日本の設備も改善できます。その改善した日本の設備を海外に展開して――といったサイクルを回していくことで、日本・海外ともにより良い生産ラインにでき、グローバルでのより安定的・効率的なコンプレッサー供給につながります。また、自分自身もエンジニアとして成長できると実感しました」(金子)

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STORY 5

信頼関係が、仕事を面白くする。

生産準備という仕事の魅力の一つは、いろいろな人と関わることができる点にあると3人は口を揃える。

「いろいろな部署の人と関わる機会がありますが、特に多いのは、社内では製造部門、社外では設備メーカーの皆さんとのやりとりが多いですね。ラインを新設する場合、100人ぐらいの設備メーカーの方と一緒に立ち上げることもあります。そういうとき、『これだけ多くの人が、自分の考えた生産ラインを形にするために動いてくれているんだ』と感動します」(内田)

「特に海外生産準備の場合は、日本人駐在員やローカルスタッフなど関わる人が多くなります。現地出張の際、ローカルスタッフとの交流も楽しいですよ。いい人が多くて、休日に食事に誘ってくれたり、一緒にトレッキングをしたこともありました。そういうつながりが広がることも、海外生産準備の醍醐味です」(金子)

「今回、TACK・YSTでは初めて電動コンプレッサーを生産するため、現地で作業する皆さんへの教育も行いました。現地の皆さんは何も知識のない状態からスタートしたので、構成する部品や組付けの方法、設備の動きを一つひとつ伝えるのは大変でしたが、自分にとっての再確認や勉強にもなってよかったと思います」(廣森)

そして最後に、金子はいろいろな人と関わった先にある喜びを教えてくれた。

「多くの人たちとの信頼関係ができてくると、この仕事の面白さはより増していきますよ。だから逆に言えば、若いうちは大変かもしれない。いきなり信頼は得られないから。でも、そこを乗り越えて信頼を築いていくと楽しくなるし、より大きく複雑な仕事を、効率的に進めることができるようになります。それが生産技術エンジニアとしての成長でもあると思います。私自身もまだ成長過程です。今回のプロジェクトでは2拠点ともに予想外のことが起こりましたが、だからこそ、いろいろな部署のいろいろな人を巻き込んで仕事を進めていく力を、さらに鍛えることができたと実感しています」(金子)

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