エンジニア座談会

「だからずっと働ける。働きたいと思う」
女性エンジニアをめぐる仕事と環境と仲間たち。

  • 松岡 香穂
    トヨタL&Fカンパニー
    技術部 機種開発室
    KS1グループ
    2009年入社
    工学研究科機械工学専攻 卒業

    現場実習やL&F実験実習などを経て、2010年技術部に配属。2011年結婚。担当は電動フォークリフト・ボデー関連の設計開発。やりがいを感じるのは、自分の担当部位が組み付けられ1台の試作車になったとき。

  • 神山 真巳
    技術・開発本部
    開発第一部 開発第二室
    第22グループ
    2009年入社
    工学研究科物質工学専攻 卒業

    有機化学分析を研究していたが、具体的な製品に近い仕事がしたいとショッキに入社。2014年結婚。期待が集まる新素材CFRP部品の開発に従事。樹脂材料と成形プロセスを担当している。

  • 金井 明信
    コンプレッサ事業部
    技術部 開発第二室
    第23グループ(グループ長)
    1999年入社
    基礎工学部機械工学科 卒業

    各種のカーエアコン用コンプレッサ開発に従事した後、北米拠点に約5年間出向。現地自動車メーカーに向けた拡販活動や技術サポートなどに携わる。帰国後もグローバル戦略の推進を担当し、この座談会の翌日にもアメリカ出張と、太平洋を行き来する多忙な日々をおくるグループリーダー。

現在の仕事開発最前線で活躍する女性エンジニアたち

神山
私と松岡さんは同期入社で、どちらも院卒なんですよね。結婚は松岡さんの方が先ですが。
松岡
はい。入社3年目の2011年に結婚しました。
神山
私は2014年。まだ既婚者としては新米です。
金井
お二人はいま、どんな仕事をなさっているんですか?
松岡
私は開発がやりたくて入社したのですが、イメージ通りの仕事ができています。いまは電動フォークリフトで、バッテリーフードやルーフといった意匠部品を担当。3D-CADで形状やレイアウトを検討して図面を作成し、試作品を車体に組み付けて、問題がないかを確認するところまで携わっています。
金井
設計だけに留まらないんですね。
松岡
はい。机上の仕事だけでなく「現地現物」でモノづくりできるのがうれしいですね。2015年には、私が最初から関わった新機種が、北米でデビューするんですよ。実際に市場で目にするのを楽しみにしています。
神山
私の場合、大学での専門は有機化学分析でしたが、ルーチンの分析業務じゃなく、製品に近い分野で働きたいと思い、ショッキに入社したんです。いまは軽量で強度・剛性に優れたCFRP部品……つまり炭素繊維で強化された樹脂材料の開発を担当しています。ショッキは基本が機械メーカーですから、周囲にも機械や電気系出身の方が多くて、化学系は少数派。だからこそ逆に、必要とされている実感があります。また畑違いの方々と一緒に仕事をすることで、自分のフィールドも広がりますよ。
金井
たしか当社のCFRP技術は、レクサスLFA開発にも使われていますね。
神山
はい。2010年末からの限定生産でしたが、レクサス初のスーパースポーツカーとして話題になりました。CFRPは航空機への適用が進んでいる素材で、これを自動車部品にも利用できるようにするのが私たちの役割。コストなどの課題をクリアできれば、車体の大幅な軽量化が可能になりますし、燃費削減や環境負荷の低減に貢献することができます。

女性の働く環境面倒見のいい先輩が多いのがショッキの伝統

金井
当社でもこのところ、目に見えて女性エンジニアが増えてきましたね。私はカーエアコン用コンプレッサで、北米向けアプリケーション対応を行う部署にいますが、13名いるメンバーのうち1名が女性。先日無事に出産なさって、いまは育休をとっています。
松岡
彼女も私たちの同期なんですよ。
金井
そういう横のつながりはいいですね。女性同士のネットワークがあれば、なにかと安心でしょう。
神山
私の部署では14名中、女性は3名です。なかでも設計チームに6年上の先輩がいて、出産・育児も経験なさっていますから心強いですね。
松岡
私は学生時代から男性ばかりの研究室にいたので、女性の数そのものはあまり気になりません。私の所属するグループでは、女性は私のほかにもう1人。彼女はアメリカ関連会社からの研修生で、コミュニケーションは英語が基本です。年齢・国籍ともさまざまな方が集まっている職場ですから刺激がありますし、なんでも気軽に相談できる雰囲気もうれしいところ。恵まれた職場だと思います。
神山
男女の別なく、面倒見のいい先輩が多いですよね。これは私の職場だけでなく、ショッキの伝統だと思います。先輩方も、さらにその先輩方からたくさんのサポートを受けていて、その恩を後輩に返していこうという意識の方が多い。ですから困っていると、必ず誰かがそれぞれの得意分野を活かして助けてくださいます。

新しい価値観の醸成設備や制度だけじゃない、よりよくすべきは働く社員の意識

松岡
他社に勤めている友人の話などと比較しても、子育て支援や介護支援など、しくみは整っている方だと思います。これからも女性活用を推進していくと聞いていますが、女性だけに目を向けて特化する必要はないですよね。ただ、施設・設備や制度・しくみがどんなに立派なものであっても、活用できなければ意味がありません。向上させるべきは、目に見えない意識の方ではないでしょうか。
金井
実際に問題を感じたことがあったんですか?
松岡
私の実体験ではないのですが、他の会社で働いている友人が残業していたときに、「奥さんは早く帰ってごはんをつくってあげないと、ダンナがかわいそうでしょ」と言われたことがあったそうです。冗談交じりの軽い口調だったようなのですが、私自身、少しひっかかりました。
金井
なるほど。たぶんその方は、松岡さんのお友達を気遣うつもりだったのだろうと思いますよ。でも、特に男性の多い職場では、男同士の話し方が身についてしまっています。特別な意図がなくても、女性にとって不快なことがありますよね。私も自分の言動に気をつけるだけでなく、メンバーにも注意を促していますが、無意識なだけに難しい。まだ男女比では、男性の方が多いわけですから、本当に意識が変わっていくのはこれからかもしれません。
神山
仕事で男女差を感じたことはありませんが、視点や考え方には性差が少なからずあると思います。でもこれはむしろ活用すべきこと。これから女性が増えていけば職場にも新しい価値観が加わり、組織力がより強まっていくんじゃないでしょうか。

日米の環境比較アメリカのイクメンは皿洗いのためにさっさと帰宅?

松岡
ところで、金井さんは北米に長期出向していらっしゃったんですよね。アメリカと日本では、女性の勤務環境や風土はちがいますか?
金井
女性活用そのものは進んでいます。女性の上司がいる職場が多く、会議でも女性が積極的に発言するシーンをよく見てきました。また北米では家事や育児をする男性が多く、託児所やベビーシッターも充実していますから、子どもをもつ女性にとって働きやすい環境が整っています。出産ギリギリまで現場で働いて、産後も一週間で職場復帰などという例はよくあります。
神山
それはうらやましいですね。私は母が仕事をしていましたから、共働きが当然だと思って育ちました。これからは男性も積極的に育休をとって、もっと育児に参加してほしいところです。
金井
ただ、文化そのものが違いますから、私としてはアメリカ式に全面賛成はできません。たとえば緊急の仕事があるのに、男性もさっさと定時で帰ってしまうことがある。子どものお迎えとか、芝刈りをやらなきゃとか、皿洗いとかが理由です(笑)。
松岡
たしかにそれはちょっと……(笑)。

後輩へのメッセージあなたの声を受け入れる窓は、いつも開いています

神山
私の上司は、「うちの会社では、やりたいことを主張して嫌な思いをする人はいない」と言い切ってくれる方。さらに上司だけでなく、先輩、同僚、労働組合など、困ったときに相談できる環境が複数あるのがうれしいですよね。私の勤めている共和工場には複数の事業部がありますが、社員食堂などがコミュニケーションの場になっていて、他事業部の女性メンバーともよく顔を合わせます。ランチを食べるだけじゃなく、ケーキを用意してミニ誕生会を開くことも。そういう部署や年代を超えたお付き合いからも、さまざまな情報やアドバイスが得られます。この風通しのいい環境を活用して、これから入社なさる方も、なるべく自分から周囲に声をかけたほうがいいと思いますよ。
松岡
海外長期旅行など、学生時代ならではの経験もしておいたほうがいいですね。楽しいことは思い切り楽しんで、いろんなものを見聞きしてほしいと思います。自分がどんな経験をしてきたかで、発想も柔軟になりますから。
金井
これからもショッキは、女性エンジニアを積極的に採用していこうとしています。そして入社した方に、できるかぎり長く働いてもらえるよう、環境を整えていくのが私たち管理職の役割です。当社では「こうしたい」と声をあげてくれたら、反映される可能性はきわめて高い。提案を受け入れるための窓はいつも開いていますから、勇気と希望をもって来てほしいですね。

原稿内容は取材時のものです。

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